大和ミュージアム

 週末、大学時代友人に会うため広島へ行ったついでに、前から行きたかった呉の大和ミュージアムへ。

 

 まずは、10分の1サイズ(全長26m)の戦艦大和。その迫力と精巧さに圧倒された後、特別展示「日米最後の戦艦展 戦艦大和ミズーリ」で、ミズーリ艦上で行われたポツダム宣言調印などについて学ぶ。

 

 続いて常設展示

  • 海軍工廠と呉の町発展の歴史
  • 日清・日露・太平洋戦争と、その中での帝国海軍艦隊整備の歴史
  • 戦艦建造に用いられた技術解説
  • 戦艦大和撃沈までの経緯や乗員の手紙
  • 徳之島沖に今も沈む戦艦大和の潜水調査

など、盛りだくさん(とても2-3時間では観終わらなかった)。

 

 特に戦艦大和撃沈の展示では軍人さんたちの無念さを感じ、やるせない気持ちにさせられた。
なぜ彼らは、世界最高の戦艦を持っていながら、それをうまく生かせず、引き際を誤ってしまったのか?
後世の僕たちは、そのことを考え続けなくてはならないのだと思う。

 

 大和ミュージアムを観て感じたのは、反戦一辺倒でもなく、帝国海軍を美化しすぎたりもせず、当時の日本の優れていた面(勤勉さや技術力)は誇り、愚かだったこと(戦略の無さ・国民の命を軽く扱う点)は反省するという、一つ一つの事実を個別に評価しているというところ。
たぶん戦史博物館というのは、イデオロギー無しに作るのは難しいのだと思うのだけど、名誉館長が「昭和史」著者の半藤一利氏だけあって、バランスの取れた展示だったのではないかと思う。

 

 僕自身、子供のころから、戦争は絶対してはいけないという気持ちと、戦艦やゼロ戦を単純にカッコいいと思う気持ち、両方を持ってしまうことに罪悪感のようなものを感じがちだったのだけど、それぞれの感情に正直に従っていいんだと改めて感じることができた。
今回は家族は連れてこれなかったので、またいつか子供を連れて来たい。

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新書「小さな『悟り』を積み重ねる」

アルボムッレ・スマナサーラさんというスリランカ上座仏教のお坊さんが書いた「生き方」についての本。

人に紹介されて読んでみたが、仏教の教えを、現代日本の言葉・文化を使って説明してくれており、まあまあ分かりやすかった。

 

例えば、決定的で変えることのできない「運命」は仏教では否定しており、あるのは「業」という考え方。

「業」とは与えられた基本的な性格を作るものであり、パソコンのOSのようなものらしい。

OSは修正することはできないが、その上に載せるアプリケーションにより、そのパソコンで何ができるかが変わってくる。

もし、アプリケーションが気に入らなければ、別のものに乗せ換えれば良い。

つまり、人には向き不向きがあって、それぞれに合ったアプリケーション(生き方)を選ぶことで、人生の幸不幸が決まる。だから、今の生き方が合わないと思ったら諦めて別の道を探しても良いんだという心構えを持つことで、楽になれるということだと思う。

 

その他、述べられているのは、以下のような「悟り」への第一歩のための考え方。

  • 長期間の計画・目標を立てるのはやめて、「今」という目の前のことに全力で取り組むこと。そして「今」が瞬間になることが「悟り」
  • ギブ&テイク(自分が得しようとして奪い取る)ではなく、ギブ&レシーブ(お互いに与え受け取りあう)の利他の精神が大事
  • ポジティブシンキングは現実逃避になり、ネガティブシンキングは悪い面しか見ようとしない。より建設的に「どんな対応をすればよいか」「自分が成長するにはどうすればいいか」を考えるプログレッシブ(前進)という姿勢・考え方をすべき
  • 仏教の「中道」は両極端の考え方の真ん中という意味ではない。両極端にあるAとBを超越した道

 

これらの考え方は、まだまだ自分には実行に移すのは難しそう。

特に、計画・目標を立てるなとか、臨機応変な行動の出来ない、今の自分にはとても無理。

新書「荒木飛呂彦の漫画術」

 「ジョジョの奇妙な冒険」の荒木飛呂彦氏による「漫画の描き方」本。
 漫画家志望でなくても「ジョジョ」ファンならみんな、荒木先生の頭の中知りたいと思うはず。ということで出された本だと思うのだけど、期待通り荒木先生の漫画哲学やコダワリ具合が感じられてとても面白かった。
 
 内容は、「ジョジョ」特有の漫画要素(スタンド、ジョジョポーズ、独特のセリフ回し)についての話(独創的なアイデアの出し方みたいなもの)はあんまりなくて、以下の、荒木先生の考える漫画における普遍的な「基本四大構造」+「絵の描き方」についてが主に書かれている。
  1. キャラクター
  2. ストーリー
  3. 世界観
  4. テーマ

 確かに、ストーリーは破綻しているのにキャラクターだけ人気がある漫画、世界観は詳細に作り込まれているけどストーリーや主人公の内面はあまり描かれていない漫画も世の中にある。でも、後の世に残る名作漫画というのは、これら全てがバランス良く成り立っているとのこと。
 僕が名作だと思う少年漫画を3つあげるとしたら、「火の鳥」「寄生獣」「うしおととら」。どれも、4つの要素全てが秀逸だと思う。
 
 印象的だったのは、4つの要素の内、荒木先生が考える最も重要なものは「キャラクター」で、「ジョジョ」のスタンド使い一人一人について、「身上調査書」という詳細な設定書を作成しているということ。この設定書には、身体的特徴・性格・口癖など漫画での必須項目だけではなく、漫画の中では登場しないかもしれない情報(家族構成・音楽や映画の趣向・恐怖するもの・恋愛経験・学歴)も書かれており、正直ここまでしなくても良いのでは、と感じてしまう。でも、このコダワリが「ジョジョ」において、脇役なのに印象に残る個性的な敵スタンド使いがたくさんいたことにつながったのかとも思う。
 
 裏話的なところでは、「ジョジョ」第4部に登場した岸部露伴は、最初はそこまで重要人物にするつもりはなかったのらしいけど、描いてみたらどんどん変人さが出てきて面白くなって、活躍するようになったらしい。
 僕ら読者は、荒木先生の変人ぶりを誇張したキャラクターなんだろうな、と想像していたのだけど、この本を読むとご本人もやっぱり「コダワリの強い変わった人」という風には感じた。
 
 また、「ジョジョ」のテーマである「人間賛歌」は、最初から考えていたわけではなく、単行本の著者コメントにたまたま書いた言葉。書いた後にこの言葉の奥深さに気付き、漫画の内容が「人間が自らの力で道を切り開いていく物語」となり、それが発展して「次世代へ受け継いでいく物語」となったとのこと。
 
その他に印象に残ったこと
  • キャラクターには「短所」が何かということも重要で、その「短所」を克服しようと努力することが「動機」につながり、その「動機」が読者の共感を生むのだとのこと。
  • 少年漫画のストーリーは「常にプラス」(落ち込んだり戦いに負けたりしても、すぐに克服して成長する、というストーリー)であるべき。なので荒木先生は、一時的にでもヒーローがその役割をやめて逃げ出すというのがとても嫌いらしい(碇シンジ君のこと?)。
  • イデアの源泉となるのは、自分自身の感覚で面白いと感じたこと、だけではなくて、自分とは違う意見や疑問に思うこと・理解ができない人・怖い出来事などに出会ったら、なぜそう思うのかを考えることから。
 

福岡市博物館「大関ヶ原展」

8/14(金)
福岡市博物館大関ヶ原展」へ。
ヤフオクドームで西武戦を観る前)

  • 豊臣秀吉が死んで関ヶ原の戦いに至る経緯の説明
  • 調略のための手紙のやりとりの様子
  • 各武将の旗印や刀・弓矢などの展示
  • 1日で終わった戦の流れ・合戦図を映像で説明

など盛りだくさんで、やっぱり全部観るのに2時間以上かかり、一緒に行った長男をやや退屈させることに。
(野球を観るために博多に連れて来てもらっているので、長男も文句は言わない)

 

 展示を観て改めて感じたのは、関ヶ原の戦いは「日本が東軍と西軍の真っ二つに別れて争った戦」という単純な出来事ではなく、各大名それぞれが、忠義・友情・損得勘定・恐怖などのいろんな感情が働いた上で起こった、歴史という物語の中の流れの一部なのだということ。

 

 そういう細かな知識(あまり実生活や仕事には役に立たなないが)を得るところが歴史の面白さだと思うのだけれど、なかなか身近な人からは賛同を得られません。

 

 あと、僕は、最初に読んだ司馬遼太郎の小説が石田三成が主人公の「関ヶ原」だったこと、山口県出身(毛利氏)であることから、西軍の方に肩入れしがちであり、正直、東軍にはあまり詳しくないので、もっと徳川方の大名や武将のことも広く知りたいと感じた。

 

小説ふくわらい」感想

ふくわらい

ふくわらい


鳴木戸定(ナルキドサダ)という、一般人とは違う感性を持った女性編集者の話。

どんな風に感性が違うかというと、
・普通の人の感情が理解できずロボットのような言動をする。
・ふくらわいのように人の顔のパーツを頭の中で移動させる性癖がある。
・出版社ビル屋上で呪文を唱えて雨乞いをする。
みたいなこと。
それだけだと、まあ変わった人だねで済むのかもしれないけど、この小説の主人公が一線を越えているのは、「人肉食」経験があるということ。

読者には、ここに拒絶反応を起こす人が多そうなのだけど、たぶんこれって著者からの「価値観の違いを許容できるか」「想像力をどれだけ働かせることができるか」という挑戦状なのでなないかと思う。
安易に理解・許容する事はできないし、許容できる人もどうかと思うのだけど。

そして、この小説で賛否両論なのはラストシーン。
変人主人公にフツーの友人ができて世の中に折り合いを付けられるようになったかと思ったら、それを突き放すような衝撃の終わり方。

またこれも、西加奈子さんからの挑戦状なんだと思う。
正直まだ僕には付いて行けそうもないし、これを面白いと言い切ることもできないのだけど、これも一つの小説の醍醐味なのかなぁとも思わなくもない。
日常とは全然違う世界を見せてくれるという意味で。

Mr.Children論

7/19(日)
ヤフオクドームのMr.Childrenスタジアムツアー未完へ。
Mr.Childrenのライブは14年ぶり。
最新アルバム「REFLECTION」の曲が半分ちょっとくらいだけど、それ以外は大盤振る舞いで、懐かしいあの曲も、僕の人生を支えてくれたあの曲もやってくれて、大変楽しめた。
Mr.Childrenは、二十数年前からずっと一番好きなミュージシャンだけど、どんなところが好きで、なぜずっと好きでいられるのか、をこの機会に、テンションの高いまま書いてみる。
 
Mr.Childrenの魅力は、(1)桜井和寿のルックス、(2)歌声、(3)メロディー、(4)歌詞だと思うのだけど、他のミュージシャンとの差別化要因として僕にとって最も重要なのは(4)歌詞。
 
僕が一番特徴的だと感じるのは、ラブソング・社会派メッセージソング・内省的な歌いずれにしても、歌詞の中で、愛・夢・希望などの「綺麗ごと」とされるものと、弱さ・諦め・欲望・劣等感などの人間の醜い面の両方を、1曲の中で表現したものが多いところ。
1曲の中でマイナスからプラスへ転じるドラマ性があるところに感動させられるのではないかと思う。
たぶん、どちらか一面的な歌ばかりだったらこれほど響かないことだろう(少なくとも僕は「綺麗ごと」だけの歌詞には物足りなさを感じる)。
 
人間誰しもダメなところがあって悩みを抱えていて、だからこそお互いの気持ちを分かり合えたり、一緒に助け合えるんだ、というテーマが多くの曲に込められている気がして、日常いろいろ考えすぎてしまう自分のような人間には救いになるのだ。
 
でもたぶん、20年間ずっと好きでいられる一番の理由は、大学時代、音楽に興味を持った最初の頃に好きになったミュージシャンだからだと思う。
誰にとっても、青春時代に聴いていた音楽は一生特別なものなのだろうから。
(もっと言うと、年を取ればとるほど感受性は失われていくし、自分より年下のミュージシャンの歌う歌詞には感動しにくくなるはず)
 
大学時代「es」「星になれたら」に励まされて走り続けたこと、
就職してから「終わりなき旅」「Any」「彩り」を聴いて仕事に頑張ってたこと、
結婚式の時、熟考した結果「Simple」だけをBGMに使ったこと(他の好きな曲はあまり結婚式にふさわしくない)、
子供ができて「HERO」「タガタメ」を聴いて父親として考えさせられたこと。
 
そんなふうに、僕の人生のところどころで、BGMとなっていたり、口ずさんでいたり、頭の中でヘビーローテーションしていたりした曲たちがたくさんあり、その年月を共にしてきたことで特別感を感じてしまうのだと思う。
僕は、たまたまそれがMr.Childrenだったけど、誰にでもそんなミュージシャンはいるんじゃないだろうか。
 

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萩 家族と一緒に

6/21(日)、家族で萩へ。

 僕は、先月萩ツアーに行ったばかりなのだけど、最近長男が少し歴史に興味を持ちだしていて、今が絶好の機会だと思ったので連れて行った(ママと次男はほとんど興味はないのだけど)。

  1. 松下村塾松陰神社吉田松陰歴史館
  2. 花燃ゆ大河ドラマ館、旧明倫小学校
  3. 萩城跡、指月公園
  4. 萩城下町
  5. 野山獄
  6. 涙松

などを観てまわる。

 

 最初に行ったのは当然、松下村塾。僕が長男に感じてほしかったのは、松下村塾の建物の小ささ(見た人はみんな「フーン、こんなもんか」と思う)。でもだからこそ、そこから何十人も政治家・軍人・実業家を輩出したことが凄いのだ、ということ。

 

 2番目に行った大河ドラマ館(旧明倫小学校の体育館)は、ARでしゃべるアニメ絵キャラと、志士判定おみくじ(僕は久坂玄瑞でした)など、女子供でも楽しめる良く出来た展示だったと思う。また、旧明倫小学校周辺には、武道場・水練場(プール)があって、当時の武士の修練風景が想像できて面白い。

 

 ただ、ここら辺りで次男が退屈のあまりプンプン怒り出したので、萩城跡の指月公園へ。お堀や池の亀、沼地のカエル、菊ヶ浜の海を見て、少し機嫌を直してくれた(次男は生き物好き)。

 

 その後、萩城下町を散歩し、萩の町の小ささを実感(桂小五郎高杉晋作伊藤博文・小田村伊之助らみんながご近所さん)。僕以外は歩き疲れて、それどころではなかったようだけど...

 

 みんな疲れていたようだが、最後にワガママを言って車で、野山獄(吉田松陰が入れられていた牢屋跡)、涙松(山口へ向かう道で萩の町が最後に見える場所)へ。
ここは、石碑があるだけで他に何もないのだけど、吉田松陰の物語の中では重要な場所。

 小説やドラマのシーンを思い出し、こんな何もないところで感動できる、歴史好きというのは本当に単純でお手軽だなぁと我ながら思う。

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