歴史小説「世に棲む日日」感想

世に棲む日日〈1〉 (文春文庫)

世に棲む日日〈1〉 (文春文庫)

僕も含む山口県出身者にとってのバイブル。
日本の歴史上、山口県が主役になった唯一の時代、幕末。
そこで活躍する、吉田松陰高杉晋作の物語。

司馬遼太郎の定義する「革命の三段階」論というのがある。

  1. 思想家が現れ、旧体制のために非業の死を遂げる。 
  2. 革命家が、思想家の意思を継いで、行動を起こし、旧体制を倒す。 
  3. 周旋家(事務家)が、後処理をして、新体制を作る。

吉田松陰は(1)の思想家、高杉晋作は(2)の革命家だ。
(ちなみに、長州藩では伊藤博文井上馨らが(3)周旋家)
(1)から(2)の段階が、物語として最も華やかで、しかも二人とも志半ばで死んでしまう。だからこそ、二人の偉業が後世の我々の心をうつのだろう。

時代が偉人を作ったのか、偉人が時代を作ったのか、という議論があるが、そのどちらとも言えるのだろう。