SF小説「幼年期の終わり」感想

幼年期の終わり (光文社古典新訳文庫)

幼年期の終わり (光文社古典新訳文庫)

古典SF小説の名作。アーサーCクラーク著。

スケールが大きく感動的な話らしいとのことで読んでみた。

 

あらすじ

ある日、突然宇宙船でやって来た宇宙人オーヴァーロード(最高君主)たち。彼らは地球人を攻撃したり奴隷にしたりするのではなく、姿を見せないまま国連を通して世界各国を統治し、戦争・差別・犯罪の無い平和で理想的な世界を作り出す。

宇宙人がやって来て統治される第1部「地球とオーヴァーロードたち」、世界中が平和で豊かになった第2部「黄金期」、人類の進化と滅亡を描いた第3部「最後の世代」。三部構成で約100年間の人類の盛衰を描く壮大なSF小説

 

感想

第1部から第2部の前半までは、宇宙人の本当の目的は何か、なぜ姿を見せないのか等の謎を起点としたSFミステリーであり、それだけでも十分知的好奇心を刺激させてくれる。

第2部後半以降は、人類は自由なき平和に満足できるのか、悪意を持つことを禁じられた世界で退屈せずに生きられるか、という哲学的なテーマが展開され、考えさせられる。ここまでは、SFでありながら、哲学的な思考実験の命題を与えられている気分で読んだ。

 

一方、ラストの衝撃的な展開(特に、人類が次の段階へ進化した姿と、宇宙全体の意思みたいなもの)は、理解の域を超えており、さすがに何のことやら分からない部分もある。

でも、人類の理解の範囲を超えた存在とか、実は人類は宇宙の中では文明後進国だったみたいなSF設定は、今現在の色々なアニメ・漫画などでよく見かける物であり、この小説の凄いところは、それを1950年代に最初に描いた作品だということなのだと思う。

 

この小説に影響を受けてるかも?と感じた作品

僕が知らないだけで、他にも影響を受けた作品はいっぱいあるんでしょうね。