新書「データサイエンティスト ~ データ分析で会社を動かす知的仕事人」感想

最近のIT関連流行ワード(バズワード?)「ビッグデータ」と並び注目される職業「データサイエンティスト」についての本。

本書における「データサイエンティスト」の定義は、「データを科学的に分析してビジネスの課題を創造的に解決する人材」。

必要スキルは、統計学・ITの知識に加えて、創造的な提案を行うビジネスコンサルティング能力が大事とのこと。

 

ポイントカードの購買行動履歴・Webサイト閲覧履歴・SNSにおける大衆の興味動向を分析して、企業のマーケティング戦略に活かす。

やっていることは高度だし学問的面白さはありそうだけど、そんなに頻繁に有効な提案って出せるもんなんだろうか?と思う。

本書で紹介されていたデータサイエンティストの事例は、Webサイトのターゲティング広告・ソーシャルゲームアイテム課金など、主にインターネットを使った一般消費者向け企業。

確かに、これらの業種にとっては有効なのだろうが、やはり実際にそんな人材になれるのは一握りのような気がする。

 

では、自身の仕事(システムエンジニア)にどう活かしたら良いのか?

新システムの提案などで他者に説明するときは、実際のデータを使って定量的にするよう心がけているつもりだが、統計学やマーケティングの知識があればもっと説得力のある資料を効率的に作れるかもしれない。もう少し関連本で勉強してみようと思った。

 

以下、本書で概要紹介されていたキーワードやビジネスツール。
  • オッカムの剃刀 … 説明するときには不要な部分をそぎ落としてシンプルに、という考え方(ちなみに、村上春樹1Q84」でこの言葉を知りました)
  • スロヴィックのリスト … 飛行機と自動車で飛行機の方が事故リスクが高いと思ってしまう等、思い込みで事実よりも過大評価してしまいがちな事柄のリスト。大惨事の可能性、信用、馴染みのある事柄、メディアの注目など。
  • フェルミ推定 … 限られた情報からだいたいの数値を推定すること。Googleマイクロソフトの入社試験では「シカゴにはピアノ調律師は何人いるか」等の「地頭の良さ」を問う問題が出題される。
  • RFM分析 … 顧客をグルーピングするときの考え方。Recency(最終購入日)、Frequency(購入頻度)、Monetary(購入金額)をそれぞれ何段階かに分けて、3次元のマトリクスにして分類する。
  • クラスター分析 … 集団から似たようなものを集めて分類し、トーナメント図等で表す手法。
  • AARRR … Webサイトのビジネスで、ユーザを無料サービスから初めさせて優良顧客へ変えていくためのステップ。Acquisition(獲得)、Activation(定着)、Retention(継続)、Referral(紹介)、Revenue(収益)の略。各ステップにおいて、数値で効果を測定できることが良いらしい。
  • A/Bテスト … Webサイトの複数画面デザインのどれが良いかを、ユーザが気付かないうちに人気投票にかけて、その結果を反映させていく手法。