2014年自分本屋大賞BEST10

2014年は自分史上最多の読書をしたので、自分本屋大賞BEST10を発表したいと思う。

なお、対象は発行が2014年の本というわけではなく、僕が2014年に読んだ小説・エッセイ・ノンフィクション・教養本・ビジネス書など計60冊で、下記参照。
http://booklog.jp/users/yukkie1973/chart/2014/total/book

10位『仕事に効く 教養としての「世界史」 / 出口治明

・仕事に直接役に立つとは思わないけど、世界史の広い教養を身に付けることで多角的なものの見方を学べるということを再認識させてくれた。世界史と日本史の関係、大陸の形や気候変化と歴史の関係などは、目からウロコだった。

09位『原発敗戦-危機のリーダーシップとは / 船橋洋一

福島原発事故時、政府・東京電力が失敗した原因を追究したノンフィクション。リスク意識・組織ガバナンス・リーダーシップの欠如という日本人の国民性は、先の大戦の時から進歩が無いのだということを主張しており、自分たちの仕事においても反面教師にすべき点は多いと感じた。

08位『僕は自分が見たことしか信じない / 内田篤人

・サッカー日本代表DF内田選手が、ブラジルW杯前の時点で自身のサッカー人生振り返りや人生観を語ったエッセイ。読む前は彼のルックスの良さに対するやっかみが僕にもあったが、読むと彼のサッカーに対するストイックさと、サッカー以外のことに対する不器用さが感じられてとても好感が持てた。そして、彼の「不言実行」は僕も見習いたい部分。

07位『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド / 村上春樹

・僕の中の村上春樹作品に対する苦手意識(文体・不条理さ・教養ネタ)を払しょくしてくれた小説。全然関係なさそうな2つの世界が徐々に繋がっていくところや、主人公が「世界の終り」に至っていく心境の描写、ラストのどんでん返し、いろいろ解釈できるストーリーなど、見事だと思った。

06位『嫌われる勇気-自己啓発の源流「アドラー」の教え / 岸見一郎 古賀史健』

・心理学者アドラーの考えを分かりやすく対話形式で書いた自己啓発本。承認欲求・劣等感・嫉妬心・トラウマ、そんな感情をバッサリ切り捨て、他人からの評価や嫌われることを恐れずに自分の生き方を貫け、と説く。正直、完全に理解できた訳ではないし、すぐに実行できる内容でも無いが、仕事でやりがいを失いかけた時にまた読み返したい。

05位『のはなしし / 伊集院光

・タレント伊集院光の日々感じたことや子供の頃の昔話のエッセイ。彼の持つ、フツーの人とは違う独特の視点、理屈っぽさ、こだわりの強さ、想像(妄想)力の強さ、何にでも興味を持つ好奇心の強さが感じられる小話が約100本。笑い・切なさ・共感などが混ぜ合わさった、何とも表現しづらいモヤモヤした感情を抱かせてくれるところが好き。

04位『空飛ぶ広報室 / 有川浩

航空自衛隊広報室が舞台の職業+恋愛小説。自衛隊の人達も一般市民同様、仕事で失敗したり恋愛で悩んだりする、血の通った人間なのだということがテーマ。エンターテインメント小説としても面白かったし、「自衛隊の意義とは」みたいなメッセージ性もあり考えさせられた。

03位『アンネの日記 / アンネ・フランク

第2次世界大戦時にユダヤ人の少女が隠れ家の中で書いた日記で世界的名著。読む前は「戦争の悲惨さ」がテーマの悲劇の少女の話という印象だったが、それ以上に、十代の少女が隠れ家という「非日常」の中で感じた日常的な感情(小さな喜び・家族への不満・恋愛感情・性への興味・将来の夢など)を鋭い感性で書いたところが共感を呼ぶ「思春期文学作品」であると感じた。また、彼女の日記が出版され、その後のユダヤ人世界を変えていく経緯も合わせて考えると、とても興味深い。

02位『新世界より / 貴志祐介

・和風ベースのSF+ファンタジー+ミステリー+ホラーで少年少女の冒険小説。小説内の歴史・生態系など緻密な世界観をゼロから構築していることも凄いし、その設定・ルールを崩さずに主人公たちがピンチを切り抜けるストーリー展開も実に良く出来ている。加えて「自分と外見や思想の異なるものに対して、人は仲間意識を持てるか?」みたいな哲学的な問いかけがあって考えさせれるところも僕好み。

01位『砂漠 / 伊坂幸太郎

・大学モラトリアム時代を思い出させてくれる青春小説としても共感度高いし、伊坂幸太郎らしいストーリー伏線回収・叙述トリックも秀逸。でもこの小説が僕にとって2014年のNo.1である理由は、それらに加えて登場人物の一人である西嶋という男の魅力。目の前のことしか見えずに突っ走る、彼の「近視眼型」言動が、大人になったつもりで何事に対しても批判的・客観的に見る「鳥瞰型」人間からしたら、とてもまぶしく見えるのだ。僕も自分の中の「近視眼型」な気持ちを失くさないようにしたい。

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