歴史小説「炎立つ」感想

炎立つ 壱 北の埋み火 (講談社文庫)

炎立つ 壱 北の埋み火 (講談社文庫)

私が大学の頃の大河ドラマ(1993-94年)。

平安時代後半に東北で起こった、前九年・後三年の役という、日本史の授業でも1行だけで終わってるようなマイナーな戦争の話だが、かなり面白く脚色してくれており、毎週楽しみに観ていた。

 

おそらく話がマイナーすぎて、私に事前知識が無いがゆえに、先のストーリーが予測つかないことも面白さを増加させたのであろう。

とはいえ、友情と裏切り、恋愛と嫉妬、弱者(奥州)が権力に立ち向かうところなど、王道ストーリー盛りだくさんで、エンターテインメントとして楽しめる作品である。

 

なお、本作品は、三部構成からなっており、主人公が代々変わっていくという形態をとっている(ジョジョの奇妙な冒険のように)。

 第一部 藤原経清

 第二部 藤原清衡 (経清の子、奥州藤原氏初代)

 第三部 藤原泰衡 (清衡のひ孫、奥州藤原氏四代目)

 

第三部については、一般的に認知度の高い、源義経が兄頼朝に滅ぼされる話であり、一部・二部とは少し趣が違う。

しかし、既存の奥州藤原氏義経の話とはかなり解釈が異なり、これもまた面白い。