新書「オタクの息子に悩んでます 朝日新聞「悩みのるつぼ」より」感想

オタクの息子に悩んでます 朝日新聞「悩みのるつぼ」より (幻冬舎新書)

オタクの息子に悩んでます 朝日新聞「悩みのるつぼ」より (幻冬舎新書)

概要

元アニメ製作者、今は作家・実業家として活躍する岡田斗司夫氏による、論理的思考ノウハウ本。題材は、彼が朝日新聞で連載している、読者からの悩み相談コーナーの回答と、その回答に至るまでの思考過程。

 

感想

彼の悩み相談に対する回答には、道徳的に正しいけど実現のための敷居が高いような解決策はほとんど無い。あくまで、相談者にとって実現可能な案であり、人間の弱さ・ズルさを認めた上で、悩みとなっている問題のいくつかを「受容」したり、悩みによる心の負担を「軽減」する考え方を与えたり、時には他人に負担を「転嫁」することを勧めたりする回答だ。

 

基本的な考え方は以下の通り。

・悩みは以下の3つに仕分けられる。

(1)今すぐ「相談者本人が」手を打たなければならない問題

(2)年内に「相談者本人か誰かが」手を打たなければならない問題

(3)「人類が」いずれ解決せねばならない問題

・新聞投書の悩み相談で解決可能なのは(1)と(2)だけ。だから、1件の悩み相談の中から、既に終わってしまってどうしようもない問題をまず除外し、残った部分から(1)(2)を見つけ出し、それに的を絞って解決策を考えているとのこと。仕事や日常生活でも、この問題解決法は出来てるようで出来ていないので、心がけたい。

 

私が一番好きな悩み回答

[クラス内の人間関係に悩む女子中学生の相談]

・協調性が無くクラスで孤立している女子Aと仲良くすべきか。Aと仲良くしたら自分までクラス内で仲間外れになってしまう。でも、自分が無視する側になるのは心苦いし、Aが可哀そう。

[回答]

・まず、(1)Aの性根を叩き直し協調性を高める、(2)Aから徐々に離れみんなと一緒に無視する、(3)Aに今まで言いたかったことを言ってAから逃げる、の3案しかないと言い切り、どれを取っても失う物があるのだと理解させる。そして、そのことを一人で悩むのではなく、クラスのみんなやA本人に悩みを打ち明けることで自分の心の負担を軽くすることを提案(悩みによる心の負担を他人に転嫁することを勧めている)。