小説「魍魎の匣」感想

文庫版 魍魎の匣 (講談社文庫)

文庫版 魍魎の匣 (講談社文庫)

 伝奇(妖怪)小説+ミステリーという独特のジャンルの小説で、京極堂と呼ばれる探偵役(職業は古本屋兼神主)が活躍する「百鬼夜行シリーズ」二作目。

 十年くらい前、第一作目の「姑獲鳥(うぶめ)の夏」を読んだ時は、妖怪が出てくるような超常現象的な事件を、現実的なトリックとして解決する本格ミステリーかと思いきや、裏切られたという記憶があり、人気作品にもかかわらず二作目以降は読んでいなかったのだけど、今読んだら当時とは感じ方は違うかもしれないと思い、読んでみた。

 妖怪・超常現象を思わせる猟奇的な事件と、探偵役である京極堂たちのシニカルな会話がこの作品の魅力であり、そういう面は面白くもあったのだけれど、正直、文庫一冊で1000ページは長すぎた(重量としても重かった)。
もう続きは読まないかも...

 とは言え、いくつかの京極堂のセリフは興味深かったので、備忘録的に書いておく。
 
宗教者・霊能者・占い師・超能力者を目的の違いなどからロジカルに分類・用語定義した上で、「結局はどれもペテンなのだけれど、信じて救済される人がいる限り、それで良い。」「見破られないのであれば、どんな手を使おうが構わない」
 
「動機とは世間を納得させるためにあるだけのものに過ぎない。」「犯罪は、常に訪れて去って行く『通りもの』みたいなもの」