自己啓発本「ゼロ―なにもない自分に小さなイチを足していく」感想

ライブドア堀江貴文氏が出所後に書いた自己啓発本。自身の子供の頃のこと・両親のこと・働くこと・将来の夢のことを赤裸々に語っている。この本を読む限り、本当の彼は、不器用で寂しがり屋で少年のまま大人になったような男。新しいイメージ戦略なのかもしれないけど、読むと彼へのイメージが180度変わるかもしれない。

 

ゼロにイチを足していく

この本で堀江氏が最も伝えたいメッセージは、成功したかったら先ず「ゼロにイチを足していく」しかないということ。この意味は、

  • 最初は誰でもゼロの状態(地位も経験も自信も無い)。
  • だから、イチを足していく作業(与えられたことや興味のある事、何にでも挑戦し、経験と自信をつける)をまず地道にやっていく。
  • そうすれば、その先に「掛け算」のように飛躍的な成長・成功が手に入るようになる。

 ということ。彼が一番言いそうにないことだ。でも、身近で一緒に仕事をした人間からは、イメージと違って努力家ですね、と良く言われるらしい。ただ、本人は好きなことにハマっているだけで努力(=辛いこと)とは感じてないらしい。それが自然に出来てしまう人が、成功する人なのだろう。

 

他者へ伝えることの大事さ

彼に対する多くの人のイメージは、金の亡者・競争原理至上主義者など。でも実際は、マスコミがインタビューの一部の発言「金で買えないものはない」とかだけを面白がって取り上げて拝金主義のレッテルを貼り、大衆は彼のことを誤解していたという面が強いんだと思う。

2004-2005年頃の近鉄バッファローズニッポン放送買収騒動の当時は、彼自身も誤解をそのまま放置し、本当の自分を理解してもらうことを疎かにしていたとのこと。そして、大衆に対し感情的・人間的な言葉で説明することよりも、端的な論理の言葉や数値だけで語ることが正しいと信じていたらしい。

しかし、今の彼は過去の自分を振り返って、当時のやり方は間違ったことをしたとは思っていないが、世間の反感を買いやすく結果的にはうまい方法ではなかったと反省している。

  • 自分の考えを理解してもらうためには、まず「堀江貴文という人間」を理解し、受け入れてもらわなければならない、言葉を尽くして丁寧に説明しなくてはならない。

 ようやくそう気付いたらしい。懲役2年6か月の刑務所生活という、もの凄く大きな代償だったけど...

 

僕自身も、どちらかと言うと堀江氏のように、周りの空気を読んだり、相手のご機嫌を取ったり、裏側でネゴしたりというようなことは苦手だ。彼ほどの賢い人間でも自分のスタイルを貫き通すことは出来ないのだとすると、僕も今のままじゃいけないんだろうな、と思う。

 

働く理由

彼が刑務所から出て一番やりたかったこと。それは「働きたい」ということ。そして彼が働きたいと思う理由は、働くことにより、

  • 誰かとつながり、社会とつながることができる。
  • 自分が生きていることを実感し、人としての尊厳を取り戻すことができる。

お金はその結果として付いてくるものであり、働く場所を維持・拡大するための手段でしかない。

 

何のために働くのか。普通に働いていたら、家族を養うため、社内の周囲の人たちのため、そんなことかしか思いつかないけど、本当は社会のため・自分のために働いていると実感できることが一番の幸せなんだよな、と改めて思った。